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屠殺のエグザ

あとがき

 「屠殺のエグザ」をお読み頂き、誠にありがとうございます。
 長編小説としては三作目にあたる本作ですが、随分と完結までに時間が掛かってしまいました。
 当時のプロットに入れてある日付を見ると2006年となっておりますので、実に五年近く掛かってしまったことになります。
 文量としてはそれほど多くなく、多分「BO」と比べても大して変わらないはずなのですが。

 五年も連載を続けておりますと、色々と環境も変わってきます。執筆に使っているツールもWord、OpenOffice、iTextPadと変遷を遂げました。隙間時間に執筆出来るという点で、現在ではiTextPadが主なツールになっています。

 さて、「本質」をテーマとした本作でしたが、どうでしょうか、お楽しみ頂けましたでしょうか。
 着想は、アニメ版「夢使い」の第一話冒頭、教室のシーンです。
 外は晴れているのに、教室の中には「雨が降っている」。
 外と内の現象が入れ換わっている、ほう、入れ換えるのか、それは面白そうだ、と。
 この手のローファンタジーにありがちな用語設定もあまり多くないように、あるいは極力独自性の少ないものにと腐心しました。
 析眼と換手はまあしょうがないとして、「対置」「変成」「複製」「移動」は、MTGの同名カードあるいは能力から拝借しています。
 「SHDB」はSuper Hardness Dual Brade(超硬双剣)、「アトラーバオ」は、綴りが「Atrahbao」で、Arrow That Returns At Hand By Automatic Operationの略称となっています。どうでもいいですが。

 書いてる途中に何度もスランプさんに攻撃されたので、いい時と悪い時で酷いムラが出来てしまっています。技術不足で「こうしたかった」「ああしたかった」というのはかなり残りますが、完結は完結。次回こそ頑張るぞ。

 それでは、各キャラにコメント!

 村雨晶。
 イメージは「青」。水の青でも空の青でもなくて、水晶の青。眼はひとつの重要ファクターだったので、眼球=水晶体というイメージから。苗字の村雨は八犬伝でお馴染みの名刀、村雨から。これもまた、水に縁のある刀ということで、青のイメージなんです、個人的に。
 何となくキャラが掴みづらく、書きにくいかと思いきや、割と素直に動いてくれました。ただ今回は、主人公ではあるものの、話の軸はこよりを中心に展開されるので、どちらかと言えば語り部的な役割が強かったように思います。

 倉科こより。
 主演女優賞。
 幾重にも演技を重ねる彼女は、なかなか本心を見せてくれない、心を開いてくれない扱いにくい奴。
 「可愛い」と言って下さる方もいらっしゃったりして、一応ヒロインとしては合格でしょうか。
 「殺人者」であり、「裏切り者」であり、「実質ラスボス」な彼女ですが、このヒロイン離れした設定がちゃんと生きた上でヒロインとして確立する、というのが、今回の課題でした。
 無理がありましたが、勉強になりました。

 倉科宗一。
 ラスボス。
 出番を入れられる場所が少なすぎて、彼をもっとちゃんと書きたかったなぁ、という後悔しか出てきません。
 そうしたら、ラストももっと違う書き方が出来たかもしれないのに。
 弄り甲斐があるキャラだったのに、残念。

 小篠零奈。
 晶の従姉弟という設定だったので、縁のある名前を、ということで、同じく八犬伝から「大篠、小篠」を持ってきました。
 序盤はキャラが固まってなくて口調が変わっちゃってますうげえ。
 幼少期のエピソードは、個人的にかなり気に入っています。キャラとしても気に入っていて、ある意味人間らしくて動かしやすかったです。
 晶と引っ付けば良かったのに。
 こよりに取られてしまいましたが、彼女には幸せになってほしいものです。

 ラーニン=ギルガウェイト。
 マッチョ担当。
 中盤に立ち塞がる壁という役割だったのですが、動かしているうちにかなりキャラが立ってしまいました。
 特にこよりに負けて以降の言動など、可愛らしさすら感じてしまうレベル。
 あと多分、彼は苦労人気質でしょうね。

 荻原真琴。
 非協力的なエグザばかりではやり辛いだろう、と、協力的立場のキャラを入れようというコンセプトで誕生しました。
 それと、私の作品は全体的に年齢層が(ラノベにしては)高めな気がしますので、低年齢キャラが好きな人向けという配慮もあります。「朝露」読め。
 が、大変動かしづらいキャラになってしまいました。
 もうちょっとどうにか出来たはずなのに。

 難しいテーマやら構成やらでしたが、五年の間にほとんど成長してないのが露呈してしまいました。
 それでも、次回はもっと面白いものを、と決意しつつ、これにて終幕です。
 最後にもう一度、長い間のお付き合い、本当にありがとうございました。
 次回作にも目を通して下さることを祈りつつ、それでは、また。

二〇一一年七月六日 んぼ

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